空の姫と海の王子



「おい、アオイ。聞きたいことがあるなら声に出せ」

「その口はなんの為に存在している」

「え、えっと……あの、俺……その」


誰かに考えを伝えるという行為は
こんなに大変な事だったのか

口ごもる俺に対して男は溜め息をついた
女はしゃがみ込んで俺の頭を叩いた

優しく、ぽんぽん、と


「そんなに怯えるな、ゆっくりでいい」

「………ごめん」

「何故謝る必要がある?」

「ごめん……あ、えっと」


また謝ってしまった
俺が俯くと、男が笑い出した

なんで、笑ってるんだ?


「面白いからだ」

「え?俺、今何も言ってない……」

「けど聞いただろう?なんで、と心の中でそう言った。その思いを声に出してみればいい」

「そうだ、やってみろ。ゆっくりでいいんだ」


優しくそう二人に言われて
俺はゆっくり口を開いた


「お前達の……その…名は、なんて言うんだ?」

「俺はクウ」

「私はカイ」


二人は自分の名を名乗って
そして俺に手を差し出した

その行為を知っている
表の世界の生物達がやっていた


『よろしくだ、アオイ』


二人の声と同時に俺の手に
二人の手が重ねられた

その手はとても、暖かかった