空の姫と海の王子


「……信じていいんだよね?」


顔を埋めたままそう呟いた春の肩に
SUNの紋章の入った白いロングコートが掛けられた

春の横に立って灰色の空を見上げる葵は
その頭を優しく、優しく撫でた


「信じるだけじゃなくて、頼っていいんだ。春ひとりに全てを押しつける訳じゃないんだから」

「……それは、ほんと?」

「嘘はもうつかないって言ったろ、だから、」


葵はそう言って笑うと春の隣に腰を下ろすと
春の小さな体をそっと抱き寄せた


「海じゃなくて、俺を頼れよ」

「……葵」

「不安な事があるとすぐ海に頼る。俺だって……春の傍にいるのに」

「………」


春が黙り込むと葵はため息をついて
肩に回していた手を離した

空と海は常に隣あっている

……それが、とても羨ましくて

そう思う度に自分が惨めに思えてくる


「俺はね、不安定になってしまった世界を元に戻すために存在してるんだ」


空と海が生まれる前から

世界が3つに分かれる前から

誰もいない世界で

ずっと、ずっと、独りで待っていた