空の姫と海の王子



「――……葵様、お帰りなさいませ……」

「?ああ、ただいま。……やけに疲れてないか?」


蓮の部屋から帰ってきた葵を出迎えたリベルは
額に手をやり、ぐったりした様子で葵を見上げた

普段は疲れた様子なんてみせないのに、と
葵は疑問に思うが部屋を一通り見渡して


「お疲れさま」


納得した。


ひっくり返されたゴミ箱から溢れた紙ゴミ
箱から無意味に出されたティッシュ達
本棚から落ちた本達
散乱する椅子、テーブル、冷蔵庫


……冷蔵庫?


冷蔵庫が上下逆さで置いてあるとゆう
なかなか拝めない光景

よく見ればリベルのいつもは綺麗に
纏められているはずの髪も
所々からアホ毛がぴょこぴょこ出ているし
ドレスの裾は焦げている


「今日はもう休むといい」

「……お言葉に甘えさせていただきます」

「で、春はどこに?」

「クローゼットの中で毛布に包まっておやすみになられています……失礼します」


とぼとぼと気力が全くない状態で
部屋を出て行ったリベルの背中を見送って
葵はクローゼットにむかいながら右手を小さく振った

すると、散乱していた家具や本が仄かに光り
ふわふわと浮きあがって元の位置に勝手に戻っていく

葵がクローゼットを開ける頃には
部屋は出かける前と全く同じ
何事もなかったように戻っていた