「ちょ、ちょっと!どこいくの!?」
蓮を追いかけて慌てて廊下に出た奈央が尋ねると
蓮は歩く速度を少し落として奈央に合わせる
そのままちらりと奈央を一瞥するが
すぐに視線を前に戻して大げさにため息をついた
「南町J地区、地下のクラブ」
「それってさっきあいつが言ってたやつ?」
「仕事だよ、し・ご・とー。付いてくるのはいいけど、僕の邪魔しないでよね」
「……あんた、ほんとに春と血繋がってんの?同じ遺伝子受け継いでんの?どうやって生まれたらそんなに性格偏る訳っ!?」
ほんとっ!わっけ分かんない!
蓮はその言葉に足を止めた
隣に蓮がいないのに気付いた奈央は
不思議そうに後ろを振り返った
「ほんと…血なんて繋がってなければよかったのに」
「え……?」
「……なんてね……って、ぶっ!!」
足を止めて俯いていた蓮は
顔をあげて奈央を見るなり吹き出した
茫然と蓮を見たままの奈央に近づいて
大笑いしながら右手で奈央の頭を
ぽん、と優しく叩いた
「ちょ、」
「その顔間抜けすぎ!っあははははっ!普段から間抜けな顔してるんだから君こそ春ちゃんを見習うべきじゃない?」
笑いすぎて涙が出てきたのか
涙を拭う蓮の後ろ姿を追い掛けて
奈央は真っ赤な顔で叫んだ
「誰が間抜けな顔なんだよ!死ね!!百回死ね!」
こいつ、もしかして、ほんとに
そんな疑問を心の中に押し込んで
“閉”ボタンを連打されている
エレベーターに急いで乗り込んだ

