──どこまでも続く青い空
真っ白な雲に覆われた地面の上には
様々な紋様が描かれた巨大な扉
その扉の前には二人の男女がいた

白銀の髪に茶色の瞳の女性は
扉を見つめて悲しそうに言った


「これでよかったの?」

「……ああ。よかったんだ」


明るい茶色の髪に茶色の瞳の男は
白銀の髪の女性の肩を抱いて
自分に言い聞かせるように言った


どこからどう見ても
二人はただの人間

しかし、ただの人間は
こんな所にいてはいけない

人間だけじゃない
天使も、悪魔も、神でさえ
入ってはいけない空間


「俺達はただ、あの人の言うとおりに動けばいいんだ。あの人に助けられたあの日にそう決めたろ?」

「……そうだね。そうだよね」


白銀の髪の女性は
唇をギュッと噛み締める

女性の肩を抱く男の手にも
ギュッと力が入った


二人はただの人間ではなかった

この空間にいる事を許された者達

生と死の中間にある空間の守り人


「大丈夫だよ……アキ」


男は女性を優しく抱き締めた

抱き締められた女性の瞳からは
一滴の涙が零れ落ちた


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