空の姫と海の王子



重たい衝撃が身体中に走って
やっと、見えてなかった世界が見えた

車だらけの交差点
驚く人々の叫び声や悲鳴

気持ちよいくらいの青空


……そっか、
見えてなかっただけなのかな

目の前のことでいっぱいいっぱいになって
必死になったつもりになってただけで
まだまだ出来ることはいっぱいあるんだ

まだまだ、諦めるには早すぎる


空中で体制を立て直すと
そのまま後ろに一回転して着地する

裾が切れたワンピースの砂をはたいて
ボサボサになってしまった髪を整えて


「よーし、春さん復活っ!」

「え、ちょ大丈夫ですか?」


聞こえてきた弱々しい声に顔をあげると
トラックの運転席の窓から顔を出す
冬なのに日焼けした若い男と目があった


「なにが?」

「なにが?って、え!?」

「ごめんなさい。春は急いでるの、さよなら!」

「え、ちょ、え?!」


人々の叫び声は消えていた
広告の音だけが響く街は
次第に平常通りになっていく