空の姫と海の王子



¨空¨の能力を持つ者を

いや、正確には¨空¨を
由紀は知っている

太陽の様に全てを明るく照らす笑顔が
ふと、頭を過ってクスリと笑った


「……ねえ優」

「なんですか?」

「そろそろ………奈々達に話した方がいいのかな?」


¨SUN¨のトップに近付いた私を
彼女は暖かい光で遮り、邪魔をした

その時に微かに感じた彼女の想い

優しい彼女が選んだのは
悲しくも残酷な選択だった

これを奈々達に伝えるのも
残酷なのかもしれない


「それは伝えてみなければ分かりません。ただ、伝えずに立ち止まるよりは、伝えて後悔して全員で前に進む方が楽しそうだと思いませんか?」

「……うん、そうだね」


由紀が立ち上がると優も後に続く

扉の前でピタリと止まった由紀は
振り替えって小さく微笑んだ


「ありがとう」


どういたしましての代わりに
優も同じ様に小さく微笑んだ


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