「……ほんと、馬鹿陸ね」
奈々はまた小さく溜め息をついた
そして、そっと陸の腰に手を回して
控えめに抱き締めた
「え、奈々……!?」
「動かないで黙ってなさいよ」
奈々の言葉に陸は小さく笑う
林檎の様に赤く頬を染めた奈々の表情は
陸にも、誰にも見えてはいない
「別に……ずっとこのままでもいいわ」
「奈々……」
「勘違いしないで。泣き顔を陸なんかに見せたくないだけだから」
奈々はギュッと
抱き締める力を強めた
「あー、やっぱ奈々大好き。好きすぎてやばいわー」
「………煩い」
「はいはい「でも、」
軽く返事をした陸の言葉を遮り
奈々は消えそうな声で呟いた
「…………」
「…………」
「…………も」
「……な、奈々?何つった?聞こえなかっ「〜〜っ!だからっ」
深く息を吸って、覚悟を決めて
一気に気持ちを吐き出した
「……私も!……陸のこと……大好き……よ?」
次第に小さくなっていったが
陸の耳にはハッキリと届いた
奈々からは見えない
陸からは見えない
二人がどれだけ顔が赤いかなんて
誰からも見えなかった
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