空の姫と海の王子



いつも一緒だった

春が生まれた時から
私達はいつも春の側にいた


「分かるわよ………」


何者にも負けない信頼関係

それは人間界で一緒に修行をし
更に強くなった………はず


何度も思った

春は自分を信頼してないのではないか

信頼関係があるなんて思ってるのは
本当は自分だけなのではないか、と

認めたくなかった

だから認めなかった

それが
春を信じた結果だった


「……っ………」


唇を強く噛んだ

少しの痛みの後に
柔らかい温もりを感じた

陸の腕に抱き締められて
奈々は静かにその胸に頭を預けた


「何も見えてないから」


服をぎゅっと握った


「何も聞こえないから」


思い切り胸に頭を押し付けた


「奈々が離れるまで、絶対離さないから」


そっと、頭に手が置かれた

優しくて、暖かくて、大きい手


我慢していた気持ちが溢れた


「…っく……」


嗚咽が漏れる

涙が溢れて陸の服を濡らす


次第に大きくなっていく泣き声に
陸は静かに目を閉じた


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