「わわっ!……ふう、危なかった」
地面に当たる前に何とか葵を支えて
春はゆっくりとその体を地面に置いた
そして葵のすぐ隣に座ると
陸の方に振り返った
記憶が綺麗に納まって
この状況を完全に理解した陸は
奈々を優しく地面に置いて立ち上がった
春はビクリと体を震わせて
ぎゅっと目を強く瞑った
しかし、頬を叩かれる傷みも
自分を罵倒する言葉も来ない
変わりに感じたのは
温かい陸の体温だった
「馬鹿野郎………」
「………」
「また……また、一人で全部抱え込む気かよ!!」
強い怒りが含まれた言葉を
春は黙って受け止める
「一緒に人間界を救うんだろ!?由紀達を守るんだろ!?……なのに、何で由紀達の敵と一緒にいるんだよ!!」
抱き締める力が弱くなって
春は瞑っていた目をゆっくりと開いた
「¨今までありがとう¨なんて………もう会えない様な言葉、簡単に言うんじゃねえよ……!!」
春は陸の胸に頭を預けた
陸の優しさに胸が張り裂けそうだった
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