空の姫と海の王子



ショートカットのココア色の髪は
毛先が雑に切られていて
薄汚れた白いワンピースからは
白くて細い手足が出ていた


「お前は……ッ!?」


海斗が痛んだ頭を押さえると
女は手を伸ばそうとしたが
ハッとして、その手を止めた

ギュッと結んだ口を開いて
女は強い瞳で海斗を見上げた


ドクン、と海斗の中で何かが反応して
リバースした茶色の瞳が海色に戻った


こいつは俺の事を知っている

俺も……こいつを知っている

この瞳を知っている


澄んだ、空色の瞳を


ドクン

ドクン


「海斗……春、決めたの」


……春………?

こいつの……名前


ポツリと、雨粒が頬に落ちた

女の目にも涙が浮かんだ


「春…は……」

「──春」

「ッ!?」


春の声を遮ったのは男の声

突然現れたその男は春に笑みを向け
その肩に手を置こうとした


パシンッ


が、その手は別の手に掴まれた

男は笑みを消して手を掴む海斗を見た


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