空の姫と海の王子



──朝の街は騒がしい

通勤ラッシュの時間帯だからか
行き交う人の話し声と
車のクラクションの音が
嫌でも耳に入ってくる

海斗はスクランブル交差点で
信号が変わるのを待っていた

なんとなく曇り空を見上げると
後ろの女子高生逹の話し声が聞こえてくる


「今日も曇り〜?」

「ね。あ、折り畳み忘れた」

「平気じゃん?どうせ雨降らないだろうし」

「ほんと、降りそうだけど降らないよね。ここ一週間ずっとそうじゃん。てかさー……」


女子高生逹の話題は変わり
また楽しそうに話し出す

一週間もこんな天気だと確かに憂鬱だ
だけどそんな気持ちとは別の気持ちが
海斗の中には渦巻いていた


……不安?

雨が降るかもしれないとかじゃない
困るは困るけど、濡れたって別に構わない

そうゆうんじゃない

なんか別の、不安


交差点の音楽が鳴り出すと
一斉に人が歩き出した

しかし、海斗は空を見上げたまま
その場に立ち止まっていた


なんで、俺はこんな所にいる?

何の為にここにいる?

目的もないまま歩き続けたら
どこかに辿り着くのだろうか

ひかりの世話になって毎日を過ごしたら
きっと何も思い出せないで終わるだろう


「……か…いと……?」

「え……?」


すぐに声がした方を向いた

驚いたような、泣き出しそうな
複雑そうな顔をした女と目があった


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