空の姫と海の王子



「分かった」

「何だとこのやろー……て、え?」

「だから、迷惑なら出ていく。それでいいだろ」


嫌な空気が流れる

違う、あたしが言いたいのは
そういうことじゃなくて

てゆか、出ていけなんて
一言も言ってないし……

そういう意味じゃないんだって


残りのパンを食べ終えて
食器を片付け台所に行く海斗

ひかりは焦ってその腕を掴んだ


「………」

「だから、えっと、あたしが言いたいのは………出ていけって意味じゃないし!!」

「じゃあ何」

「邪魔だとは思ってるけど、迷惑だとは思ってないし!だから、その……さ」


なんて言えばいいんだろ……
日本語って……こんな難しかったっけ?

必死で焦って言葉を探す
ひかりの顔を覗き込む海斗の顔は
相変わらずの無表情で


「だから……なんてゆーか、えっと……」

「もういい」

「……は?」


まっすぐな海色の瞳に
少しだけ体が震えた

これは恐怖でも何でもない

ひかりの中の何かが
激しく反応しただけ


「今まで世話になった」


ひかりの手から抜けた腕

自分の中で何かが切れる音と
ドアが閉まる音が聴こえたのは
それからすぐ後だった


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