私はバケツに水を入れると玄関の前まで運んだ。

5個目のバケツを用意するとおばさんが手招きして私を呼んだ。


「はなびちゃん。」


「はい?」


居間にいくと紺色の浴衣がひろげてあった。


「うわぁ!かわいい!」


「わたしのお古なんだけどね。今日着てみない?」


「いいんですか?」


「いいのよ。今着せてあげるから。」


「ありがとう!おばさん!」





アパートの近くの公園では早くも子供たちが集まっていた。


「花火したぁいねーっ!」


「ゆかちゃんの浴衣かわいーねっ。」



さまざまな声が響いていた。



そのそばのベンチに幸くんが男の子と花火をしていた。



私はというと…

はずかしくて木のかげから覗いていた。


「うぅ…浴衣似合うかなぁ?」


どうしよう…



「はなびちゃん?」


見つかった…



えぇい!



「こんばんはっ!」



私は幸くんの近くに行った。


は…反応は!?





「はは。浴衣だー。かわいいね。」



あれ…


幸くんなんか…元気ない?



「花火しよー!!」


「えっ あっ うん!」


私は二本、花火を受け取った