鈴虫の声がやまない夕方。


「観覧車…乗る?」





「うん。」



観覧車に乗るとだんだん上へ登っていった。





「すごい…綺麗…」



大きな窓から見えるのはにぎやかな町並み。



「冬の日はもっと綺麗なんだ。雪が積もって…」




「雪って?」




「空から降ってくる白い結晶の固まりみたいなものだよ。それが積もるんだ。」




「見てみたいなぁ…」




私は金魚鉢にいたから…雪なんて見たことない。




きっと素敵なんだろうな…







「花火。楽しもう。」


「え?」



「残りを精一杯楽しもう。」






「…うん…っ。」




「あ、あと…これ、」


幸くんはポケットから包みを取り出した。








「紫陽花のネックレス…」




「似合うと思って…」





シンプルだけど、紫陽花の柄の中にピンクのガラス玉が入っていた。




「ありがと…ぉ」




「わっ!?何泣いてんだよ~。つけてあげるから」






幸くんは優しくつけてくれた。




幸くん ありがとう





できればこのままずっと一緒にいたい。




たった一つの願いなのに


どうして叶わないのかな?







幸くん…



最後のときも、笑顔で…