涙のアト

 
 
 
―――
――

 
 
「いっくん!」
 
 
「…ン、何?みっちゃん…」
 
 
「ぷっ、何寝ぼけてんの!この子ったら、おかしっ!」
 
 
「…?
………わっっっ!」
 
 
目の前には歳とったみっちゃん…ではなくてうちのお袋。
 
 
「なに、あんたまだみっちゃんの事忘れられない訳!?
 
彼女が出来たってゆうのに、初恋の子の名前なんか呼んじゃって…あーおかしー」
 
 
オレ…一生の不覚……
 
「べっ、別に夢なんだからしょうがないだろ!?
 
何だよ、お年頃なんだから勝手に入ってくんなって言ってるだろ?」
 
 
実はそのみっちゃんが貴女が勘違いしている彼女です…なんて言ったら話がややこしくなりそうなので、言わないでおこう…
 
 
「ご飯用意してるのに、なかなか下りて来ないからわざわざ呼びに来てやったんじゃない。
案の定お風呂にも入らないで寝入ってたみたいだけど?」
 
 
さっきのオレの寝言を思い出したのか、再びククッと抑え気味に笑うお袋。
 
 
…こりゃ、しばらくこのネタでいじられそうだな…
 
 
 
.