涙のアト

 
 
 
「オレの番号入れといたから、消すなよ?」
 
 
「はい…」
 
 
 
一輝が何か言ってるけど、今の私は全く一輝の言葉が耳に入らない。
 
 
 
私の記憶に残るのは、一輝の妙に色っぽかったあの眼差し。
 
 
 
私は魔法にかかった様に、ただ固まるしかなかったんだ…
 
 
 
「な、んで?」
 
「ん?」
 
 
「なんで…キス…」
 
 
自分で言って恥ずかしくなる。
 
 
私って、こんなにウブだったっけ?
 
 
 
「んー?あぁ…
 
未来がキスしてーって顔してた」
 
 
「してないしっ!」
 
 
「あれ?違かった?
口尖らせてたじゃん」
 
 
「!
あれはっ…怒っててっ」
 
 
 
「なんだ。オレはてっきり待ってんのかと…」
 
 
「そんな訳ないじゃん!」
 
 
 
コイツ〜!
 
絶対ウソついてるっ!
 
 
 
.