涙のアト

 
 
 
――チュッ
 
 
 
……え?
 
 
 
すっかり静かになった公園で、軽いリップ音が、私の鼓膜をかすめる。
 
 
 
な…に?
 
いまの…って?
 
 
私は状況が把握出来ずに、呆然と一輝の方を見る。
 
 
 
「未来が、今のオレのがいいってんなら、オレ明日からこのままで居るよ?」
 
 
 
いや、そこは私が決める事じゃないでしょ。
 
 
って、いやいや、今はその話じゃなくて!
 
 
 
頭では浮かんでくる言葉も、口に出せないのは…
 
 
…まだ、さっきの一輝の感触が残ってるせいで…
 
 
 
そんな私にはお構いなしに、一輝は話を進めていく。
 
 
 
「そだ!未来の携帯貸して?」
 
 
「…ん?…あ、はい…」
 
 
 
私は言われるがままに、自分の携帯を制服のポケットから取り出し、一輝に手渡す。
 
 
 
―――
――
 
 
一輝が私の携帯をいじってるけど、今の私はそれどころじゃない。
 
 
 
「…よしっと!
 
はい、ありがと♪」
 
 
 
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