慌てる男は、この前ぶつかった奴だった。
「立てるか?」
手をさしのべてきた。
「大丈夫。」
梓は、そう言って、立ち上がった。
「けがしてないか?」
「平気。ぶつかってごめん……」
相手の男は、“あっ!“と声をあげた。
「!?」
少し驚いて相手を見た。
「この前ぶつかったやつ。2度目だな。」
ニカッとわらった。
「急いでるから。」
梓は、すこしでもそこから離れたくて、とっさに言い訳をして昇降口に向かって走る。

家に変えると、部屋に入り、ボスンッと布団にダイブした。
そして、涙を流した。