「お前は微かでも王に対しての迷いがあった、だから竹刀にも迷いが生まれた。試合なんてな、やる前から気持ちで負けてんだよ。和泉の国をでかくしたいという野望とお前の城を守りたいという思いがな」


烈火の言葉が奥深く胸に突き刺さる。
確信を突かれて何も言えなかった。


「烈火・・・私にまだ何ができるかな?」


月が顔をあげると、烈火は胸元の手わ離した。

「そんなん知らねえよ、俺はお前じゃねえからな・・・お前はどうしたいんだよ」


烈火の言葉に言い返す言葉は一つしかなかった。

「―――国を守りたい!」


そう伝えると今まで睨めつけていた目が真剣な目に変わった。


「動くなら今しかねえぞ、覚悟が決まったんなら行け」


彼の言葉はなんと力強いのだろう。
彼の目を見ると不思議と力が湧く。その紅色の瞳は頼もしく、自信さえも与えてくれる。
流れていた涙をぬぐい視線を真っ直ぐに、烈火を見て言った。


「烈火!私を殴って!」

「は?」


その言葉に烈火は驚いたが、月を見ると少したってから右腕を掲げ、容赦なく月の頬をひっぱたたいた。

少しよろめきながらも、両足で踏ん張り烈火を見あげた。