「僕達は茉梨亜の存在を無くそうとした」

汚れた茉梨亜が許せなかったから。


「けどそれは、黒川の事が衝撃的過ぎたから忘れてたんだ」

僕らは茉梨亜が好きだった。


「どんな茉梨亜でも、どうなってしまった茉梨亜でも」

変わらないはずなのに


「愛してるって事」





「……おまえ、本当に十五歳?」

苦笑する管原。
芯の灯る咲眞の瞳。


「おまえ、ほんとに茉梨亜が好きだな」

「うん。茉梨亜の事もそうだけど…」


僕は…



「ぅわ管原サンまだ居るし!棗さんマジギレしてるぞ?」


「拜早の事も愛してるんだよ」




「……」

「………」

「…………」



診療所に戻ってくるなり咲眞からとんでもない言葉が発せられた様な気がする。


「お…俺様行ってくる!後は二人な…仲良くな!!」

飛ぶ様に管原が去っていった。


「………咲眞、また誤解される様な事を…」

「だってほんとの事だよ?」
咲眞は笑う。



茉梨亜と拜早と僕の三人で…またあの頃みたいに暮らせたら。


いや、あの頃、とは言わない…また三人で、他愛もない話が出来たら…




「…咲眞、これからなんだけど、さ」

「分かってるよ」

「へ?」


「管原さんも出ていったし、今なら誰も来ない…」
「何する気だてめーは」

拜早の返しに冗談だよと笑うと当たり前だと非難された。

「まったく拜早は可愛いなぁ…で、ほんとに行くの?」

「…咲眞」

「僕は、君が選んだなら大丈夫だよ。僕もその気持ちがあるから」



二人はまっすぐ互いを見ている。

迷いはなかった。




「ありがと、な」


「どういたしまして。それじゃ…行こっか」







黒川邸に乗り込んで…


茉梨亜を連れ戻す!