拜早は忘れていた醜態…を、咲眞の一言二言のせいで思い出させられた。

逆に管原は拜早と違って飄々としている。

「けど少年、いくら茉梨亜のかっこしてたからって咲眞だぞー」
「ふっ不可抗力だあれは!!てかあんたもキ…キ…ッ」
「なんでどもるの拜早」
「ぃやぁ普段の咲眞じゃ俺あんま弄れないだろ?だからここぞとばかりにどんな反応がくるかと思って〜」
管原はあの時の様にどこか楽しそうに言ってのけた。

「全く、管原さんの趣味を疑うねー」
「おまえはなんでそー軽いんだよ」
当事者のくせにまるで他人事の様に微笑みながら咲眞は勝手にコーヒーを入れ始める。
そんな相方に青ざめる拜早の横、一言だけ管原が訂正した。

「言っとくが俺様趣味じゃねーぞアレは」
趣味だったら嫌過ぎるという感情を拜早が表情だけで示している。

「思い出すなぁ、ロリマゾホモ変態痴漢だっけ?」
「違うぞ何か」
笑顔でサラリと言った咲眞に管原は添えた。


「……正味なところ冗談か、わけあって茉梨亜のふりしてると思ったんだよ」

拜早が少し目を丸くして管原を見る。

「で、反応によっちゃそれなりの対応をしてやろうかと思ったんだが…」
「対応?」
「……まぁ、俺様が出来る限りは守ってやろうと思ってな。この咲眞が女装だせ?こりゃ何かあるだろーよ」


拜早と咲眞は目を合わせる。

そして……


「管原サンてイィ人だったんだなー、知ってたけど」
「その心意気に免じてコーヒーに砂糖思い切りサービスしてあげるよw」
「それさり気に嫌がらせになるけどね咲眞クン」
「僕の唇を奪ったお礼」
「(咲眞何気に傷ついてるんじゃ…)つーか管原サンはいつから知ってたんだ?」

咲眞の態度に少し苦笑を覚えながら拜早は管原問い掛けた。
「あ?あぁ、茉梨亜が咲眞だって?」
「そう」

管原は少し思い出す様に目線を仰ぎながら口を開く。

「肩の傷を治療した時だよ。おまえに切られた、な」