咲眞の身体が叩き込まれ、煩い音を立てながら崩れる機械達は無惨だった。


拜早の握った拳が酷く赤みを帯びている。




「……咲眞…おまえはもっと頭が良かったはずだろ?」


こんな馬鹿げた事をするよりも、もっと違う事が出来たはずなのに……





『ピー、ピー、ピー』




取り繕った様な高い機械音が三回、拜早の頭上で響いた。


顔を上げると巨大なディスプレイが指し示すデジタル数字が赤色に変わっている。


29:55、29:54、29:53…



「後…30分…!?」



どうする?

こうなったら駄目元でも黒川邸に乗り込むしか……

しかし駄目元なんて言っていたら茉梨亜は助けられないし、黒川邸の人達どころか自分も確実にあの世行きだ。


――一瞬それも楽かもしれないと思った。

だが――





「俺……何しにここに来た…?」


高揚した思考回路が冷えていく。

カウントは止まらない。



「…俺、咲眞を助けに来たはずなのに」



それが、喧嘩して、殴って……

それは咲眞が狂ってたから悪いんだ……うん。


「…咲眞っ!」



自分ではこのタイマーは止められない。
情けないが爆弾を解体する知識もない。


唯一この状況を打開出来るのは……


「咲、眞……」


問題を起こした張本人しかいないのだ。