暗闇に光る青緑の電子明かりの中で、咲眞はキーボードで作業中だった手をピタリと止めた。
しん と静まり返る冷淡な部屋に現れた気配。
「………」
顔を上げ、入口の一点…暗くて扉は分からないが…を見つめる咲眞の視界に、よく知る姿が入ってくる。
「……咲眞」
「いらっしゃい」
白髪が淡い青に染められた拜早が焦燥的な表情であったのに対し、咲眞はこの部屋の様に機械的な無表情と口調だった。
ありとあらゆるパーソナルコンピュータとデバイスにコード、ディスプレイに囲まれた咲眞は、咲眞自身まで機械人形の如く思わせる……
ここを城として使っていた頃よりも遥かに巨大化した機械群は、流石に拜早を圧倒させた。
「咲眞…何をやってる?」
「今ね、いつにするかを検討中なんだ…今日か明日か、朝か昼か…それとも夜か」
再び開いていたディスプレイに目を落した咲眞が紡ぐ妙な言葉。
「なん、の…話だ?」
怪訝…よりも濃い、不安を含んで拜早は尋ねる。
「………」
咲眞は黙って、キーボードを叩いた。
『ポン』
篭った電子音と共に、部屋の中で一番巨大だったスクリーンにデジタルの数字が大きく表示された。
それは時計の様にも思えたが…
「タイマー…か?咲眞…何する気だ?!」
「全部消してやるんだよ」
「はっ?」
顔を上げた咲眞の顔は先日見せた憂いなどどこにもなかった。
ただ目的だけを遂行しようとする頑なな瞳。
「黒川の屋敷を破壊する」
咲眞の態度とは反した豪快な発言に、拜早は何も言い返せなかった。
呆気にとられた…とも言う。
「ばっ…何考えて」
「何?僕に意見するの?」
一瞬停止していた思考をやっと復活させて拜早が口を開くと同時に、咲眞がぴしゃりとそれを塞き止めた。
しん と静まり返る冷淡な部屋に現れた気配。
「………」
顔を上げ、入口の一点…暗くて扉は分からないが…を見つめる咲眞の視界に、よく知る姿が入ってくる。
「……咲眞」
「いらっしゃい」
白髪が淡い青に染められた拜早が焦燥的な表情であったのに対し、咲眞はこの部屋の様に機械的な無表情と口調だった。
ありとあらゆるパーソナルコンピュータとデバイスにコード、ディスプレイに囲まれた咲眞は、咲眞自身まで機械人形の如く思わせる……
ここを城として使っていた頃よりも遥かに巨大化した機械群は、流石に拜早を圧倒させた。
「咲眞…何をやってる?」
「今ね、いつにするかを検討中なんだ…今日か明日か、朝か昼か…それとも夜か」
再び開いていたディスプレイに目を落した咲眞が紡ぐ妙な言葉。
「なん、の…話だ?」
怪訝…よりも濃い、不安を含んで拜早は尋ねる。
「………」
咲眞は黙って、キーボードを叩いた。
『ポン』
篭った電子音と共に、部屋の中で一番巨大だったスクリーンにデジタルの数字が大きく表示された。
それは時計の様にも思えたが…
「タイマー…か?咲眞…何する気だ?!」
「全部消してやるんだよ」
「はっ?」
顔を上げた咲眞の顔は先日見せた憂いなどどこにもなかった。
ただ目的だけを遂行しようとする頑なな瞳。
「黒川の屋敷を破壊する」
咲眞の態度とは反した豪快な発言に、拜早は何も言い返せなかった。
呆気にとられた…とも言う。
「ばっ…何考えて」
「何?僕に意見するの?」
一瞬停止していた思考をやっと復活させて拜早が口を開くと同時に、咲眞がぴしゃりとそれを塞き止めた。



