「“茉梨亜は”殺す!!!」

そう叫んで少年は握りしめたナイフを振り下ろした。


「いたぞ!!ナンバー443だ!!」
「!?」
突然聞こえた男の声に少年は一瞬反応する。
その隙を見て茉梨亜はしゃがんだまま辛うじて後ろに一歩飛び退いた。
少年のナイフは中途半端な空を切る。

瞬間白い少年は背後から男に羽交い締めにされた。
「ッくそっ離せ!!!茉梨亜が……茉梨亜!!!」
少年は必死に男を振り払い茉梨亜に掴み掛かろうとするが、次々に現れた男達に押さえ付けられていく。
男達は皆同じジャンパーを着ていた。
「てめぇら邪魔だ!!!茉梨亜、俺が殺す!!」
「おい黙らせろ!」
男はもがく少年の手首を掴みナイフを落とし、別の男が少年の口に白い布を押し当てる。

「ッ……」

茉梨亜はただそれを震えながら見ていた。

白い少年はガクリと頭を下げ大人しくなる。……気絶させられた様だ。


「危なかった……もう少しで犠牲者が出るところだった」
男が少年を抱える。


茉梨亜は何がなんだか分からなかった。

(この人達は一体?それに……なんで?なんで白の怪物があたしを……)


だが白の怪物は捕まった。これでもう被害者が出る事はない……


「ぁ…あれ?」

不意に目が霞む。茉梨亜はそのまま頭が揺れるのを感じ、目の前に闇が落ちた。


……そこで茉梨亜の意識は途切れた。




「かなりの出血だな」
誰かが倒れた茉梨亜を抱き上げる。
その白衣の男は、茉梨亜の顔を見て目を丸くした様だった。


「な、茉梨亜?何でおまえが……」



いつの間にか夕立は上がり、雲間の空から光る半月が顔を覗かせていた……





―出会い―