―――眩しい……





瞼が重い……

前がぼやけてる……



白い……


眩しい………


「…れは………も……」

「…じゃ…頼………」


―――誰か…喋ってる…?












白い部屋。

Bブロック管原の診療所…

入口付近で管原と勅使川原が立ったまま話し込んでいる。

途中まで紺色のジャンパーを着た男が一人その場に居たのだが、管原は男に何かを言って帰らせた。


「やっと書いたんだな、申請書。…と始末書」

「俺も大変だったんだよ、どう上を丸め込むか必死で考えたんだぞ」

管原は持っていたA4程の茶封筒をヒラヒラさせる。
勅使川原は眼鏡の奥で怪訝そうな表情を見せた。
「捕獲班を総動員させておいて、三日も443を逃していた事になってるんだぞ?…結局なんて書いたんだ」
「どうもこうも、443は三日間俺が預かっていた事にした。まー実際その通りだし?どうせ拜早使うデータ収集は打ち切り決定だから、このまま俺があいつ保護してたって構わんだろ。一般人に渡すわけでもあるまいし」
「…何故三日間何も連絡しなかったかと言われるぞ。大体実験協力者…ナンバーの類は全員研究所で収容されるべきだ」
「ふふふんその言いワケもここに全部書いといた!」
茶封筒を突き出す管原。

「どうせ俺のとこに居るんだ、たいした問題じゃねーよ」
「…ふん」
勅使川原は茶封筒を受け取り、管原の言い分に納得してるのか否か鼻を鳴らす。


「…ナンバー445の事は書いたのか?」

その問いに管原は軽く首を振った。

「いーや。あれはもうわざわざ機関に関与させなくていいだろ。折角機関も見放した事だし…」

「放っていても問題はないと」
「機関にとってはな…」

無愛想に吐いた管原を勅使川原はじぃっと見てから言った。

「おまえ、疲れてるな」

その台詞に管原は意地悪な笑みを浮かべる。
「お蔭様で。ったく、なんでこう俺の周りはバタバタバタバタしてるかね」
「おまえが普段バタバタしてるからだ」

相変わらず毒舌の勅使川原に管原は思わず唸るが、勅使川原はどこ吹く風、茶封筒を黒鞄にしまい込んだ。