ジャ ナイ
そうジャナい
ミテ
「あ」
見ていたんだ。
「じゃあな、茉梨亜…」
茉梨亜……?
――――あ、そうか
違うんだ。
「ぃやぁ…っ」
なんで、そんな言葉。
「ゃめ、てぇ……!!」
違う!
「やめろぉぉぉおお!!!」
薄幸で頼りなかったはずの月が、落ち切った夜の闇で一気に光り輝いた。
月明かりは穴の開いた廃屋の屋根から強く、強く差し込む。
新庄茉梨亜と関根拜早がそこに居た。
そこに居たはずだった。
「おまえ…」
口を開いたのは関根拜早…
「おまえ……茉梨亜じゃ…ない……」
酷く頼りない声で呟いた。
ずるりと、馬乗りになっていた茉梨亜から身を引いて座り込む。
「おまえ、こんな所で……」
首の圧迫から開放され、むせ返る“茉梨亜”を凝視して、拜早は信じられないと目を見開いた。
「何やってんだよ……咲眞………」



