廃屋の崩れた屋根から星空と薄幸の月が覗いている――




「ゃめ……てぇ……」

茉梨亜は潰れる声で叫ぶが、狂気の少年は狂った笑みで茉梨亜に馬乗りになり両手で首を締め上げていた。


「茉梨亜…もうすぐだ……」


「く……ぅ!」



どうして?

どうして?


あたしは死ぬの?


なんで?


……どうして?


いやだ……



「ぃ………ゃ………」



いやだ、やめて。



 『もしかして茉梨亜、覚えてないのか……?』


覚えてないって何を?


 『そこで何をされたか……』


なにを?


 『茉梨亜は駄目なんだよ…あいつのものなんかにされちゃ駄目だ!!』



ナ ニ ヲ?



「くる、し…ッ」

拜早………


「拜早………ぉ願……ぃ……」





………お願い?


「はぁッ……くッ……」



お願いだって?



「ガはッァ」

カラカラする。
喉が気持ち悪い。

酸素が止められてるのに、代わりに色んなものがせり上がる。

気分が悪い。

気色悪い。



 『覚えてないのか……?』

ああそうだ。


もっと

もっと嫌な


気持ち悪くて汚らわしい
………

 『覚えてな』

えぐい事を

 『もしかして茉梨亜、』

やられた

 『――――?』


・・・・ヤラレタ?





ソウ