「うーん、ま、久々に茉梨亜ちゃんに会えてホッとしたよ。最近見かけなかったからさ」
「そうでしたっけ」

茉梨亜は最近も何も普通に生活していたつもりだ。
秋吉にそんなに会わなかっただろうか…

(確かに久しぶりって感じなんだけど…ぁれえ?)

「じゃあね茉梨亜ちゃん、暗くなる前には帰りなよー」

秋吉の方は気にしない事にしたらしく、茉梨亜を気遣って去って行った。



(どういう事なの?)




秋吉は自分を最近見かけなかったと言った。

友達は?と聞かれたのは秋吉で二人目。

自分にそんなしょっちゅう居る程仲の良い友達はいない……


そういえば、白の怪物は自分の名前を知っていた。

そして殺されかけた。


(あれ?弾くんも確かあたしの名前を知ってた……)

まさか“自分が可愛いから名前が有名”だなんて、茉梨亜も本気で思ってはいない。



(どうなってるの?まさかほんとにドッペルゲンガー……)


そんな馬鹿なと思い直し、茉梨亜は廃屋を飛び降りて秋吉を追い掛けた。



「秋吉サン!!」


「え、ん?何?」

少し驚きながら秋吉は振り返る。

「あたしの友達……どんな感じでしたっけ?!」
不審に思われるだろう質問とは分かっていたが、そこは勢いでカバーした。
「えっ拜早くんと咲眞(さくま)くん? 拜早くんは茶髪でクールな感じで目が鋭くて、咲眞くんはいつもニコニコの黒髪…金メッシュしてたっけ。あんな個性的な子達忘れないよ」

「…………」


……全く心辺りが無かった。



「でっですよねー!でも流石秋吉サンよく見てる!」

そう言って、茉梨亜は秋吉と別れた。


「どういう事なの??誰よアズサとサクマって………」