しかし少年達は。

「「さぁ?」」

二人してきょとんと首を傾げる。

「あらぁ、また綺麗にハモったね」

「もう興味ないし…別にどうしてるかとかさっぱり」
拜早は記憶を手繰る様に顔をしかめ、そんな事を言い切った。

「うーんその歳で親必要としてないの凄いよー……まぁ、ここはそうじゃないと駄目なのかな」

一人納得し、塔藤はチラリと咲眞を見る。
目が合った。

「……ところで、聞きたい事あるんだけど」

少し口角を上げて咲眞は言う。
そんな彼の頭の中を分かっている様に、塔藤は順番に説明するからと答えた。


「えーと、まず自己紹介ね。あ君達はいいよ、知ってるから」

咲眞君と拜早君ね、と目線をそれぞれ投げられる。


「俺達管原と同じ班なわけ。俺が班長の塔藤で、こっちが勅使川原のてっしー」
「……」

「なんで君達を知ってるのかって言うのは、君達が管原の友達だから。て事にしといてくれる?研究所の事深く口外したら不味いんだ」

その発言には流石に、拜早が皮肉的に口の端を上げる。

「元被験者がここに居るのに、よくそんな口叩けるな」

「うん、ごめんね。ただ拜早君は残念だけどまだ被験者扱いなんだ、咲眞君はナンバーから下ろされたけど。それに俺棗さんともちょっと知り合いだから、そういう繋がりで宜しく」

苦笑しながら塔藤は言った。
金髪で一見顔立ちも派手だが、口調といい表情といい彼には穏やかな印象を受ける。

「ふーん……そんな説明するって事は、“誰か”に何か訊かれた時そう言えって事なのかなぁ?」

そんな咲眞の意見にも塔藤は曖昧に笑っただけだったが……おそらくそうなのだろう。

塔藤の発言から解るのは、研究所は未だにスラムとの関わりを無いものとして扱いたがっている、という事。