さぁ。
この処理をどうするべきか。
屋敷内を歩きながら思案する。
正味のところ自分は研究所の事まで把握する責任などない。
その辺りは保護地区の委員会の問題であり、自分の仕事はこの場に法律を浸透させる告知をする事。
この突入の総指揮官になったのもその過程に過ぎない。
しかし……
細かな問題を放っておいて、後で妙な事に結び付かれるのも迷惑だ。
「日堀大臣、黒川大介の部屋にて発見された物です。他にもいかがわしい物はありましたが、あの研究員達が回収したのは恐らくこれかと……」
日堀は中指で眼鏡に触れながら向き直る。
捜査官が手にしているのは透明な小袋に入った白い粉。
「それ…小麦粉でしょうか」
「……違うと思われますが」
捜査官の真面目な返答に日堀はくつくつと笑った。
「分かってますよ、片栗粉でしょう。……解析に回してください」
……あの眼鏡の研究員が言った事が気に掛かる。
――調べるには“研究所”に頼るしかないだろうが。そういう代物だ、あれは――
「…まったく、面倒臭いですね」
少し口角を上げた。
こうなったら関与している以上、はっきりさせねば気が済まない。
日堀は玄関ホールまで歩いて来て頭の中を整理する。
「まず黒川達の罪状把握ですね」
黒川が行っていた事が、屋敷全員に当て嵌まるわけでもない。
各々罪が違うし、故に刑も変わってくる。
だが変わらないのは黒川は犯罪者だという事。
「……にしてあの白い粉……」
あれは十中八九研究所のモノだろう。
研究所は“協力”という名称を掲げれば保護地区の人間と研究を結び付けられる。
協力者には協力内容を伝える事と同意書を書いて貰うのが絶対条件だが……
「…………」
黒川が研究所と正規な協力関係であったのならそこは問題ではない。
問題は、研究所から出たモノが…例えばあの“白い粉”が、今回黒川が起こした犯罪の要因の一つになっていた場合だ。
あの粉がどんな物かは解析結果を待つしかないが、黒川があの“粉”を使い、犯罪事情に拍車を掛けていた“場合”……



