―ユージェニクス―

「屋敷から出たら政府のボディーガードの人が保護してくれたんですが……でもこんな大事になってるなんて思わなかった」

「あぁ…確かに大事だよな」

拜早も周りに苦笑する。
自分達にとっても入った時は極秘だったのに、出てきたらこんな事になっているとは予想外だ。

「わたし、二人にはほんと感謝してます。こんなわたしを助けてくれて、ありがとう」

「……え?」
咲眞が目を丸くする。

美織は微笑んで二人を見ていた。



「それから、最後に会った人にもお礼が言いたかったんだけど…」

「? 誰かに会ったの?」
「ええ、最後の裏口を教えてくれたの。明るい髪で、白いワンピースの……」

「!」


「あの人、笑ったら凄く可愛いと思った。でも笑えてなくて」

思い出す様に、美織は護送車の方を見やる。

「……無事でいて欲しいな」






「おいっおまえら乗れ!」

と、背後から管原の声。

「車回して貰った!その怪我だ、このまま診療所行くぞ!」
早く早く、と急かしている。

そんな管原に分かったと頷き、二人はもう一度美織へ向き直った。

「……じゃあね、美織ちゃん」

「もう危ない事引き受けるなよ」

「…うん」


申し訳なさそうに笑って、それで美織は二人と別れた。


白衣の男に黒塗りの乗用車へ突っ込まれる二人を見て、改めて男の子だったんだなぁと思う。

美織は小さく笑って

屋敷を見上げた。


魔窟は酷く美しく見える。


「終わったのね……」


黒川も。

屋敷のシステムも。

もう誰もここへ連れ去られる事はなく。

ただその記録だけが


残って。