空は月も隠す雲の闇で溢れている。
その下は白熱灯で照らされた巨大な屋敷。
玄関へ続く庭には蔓延る警官達。護送車。
その片隅にはマスコミ、そして美織、拜早、咲眞。
「……わたし、マスコミの協力をしていたんです」
美織の告白が、すぐにはピンと来なかった二人。
「どういう…事?」
咲眞が首を傾げて疑問符を浮かべる。
「正確には、わたし達…十人くらいかな。少し前に適当にマスコミに引き抜かれたんです」
美織の話はこうだった。
マスコミは例の法の成立がほぼ確定とされた時、国の誰かに許可を経て保護地区…スラムの取材を行ったらしい。
その取材はスラムの現状を資料としてカメラに納めるだけのつもりだったが、外界でも名が知れた黒川のスラムでの行いにマスコミは興味を抱いた。
そこで……
適当に保護地区の少女達に話を持ち掛け、彼女らが黒川邸の内部に入った際に情報が得られる様、前もって小型カメラを渡していたのだ。
「それがこのペンダントです」
やっぱり、と思ったのは咲眞で。
美織のペンダントは、アクセサリーにしては妙な違和感を覚えたからだ。
「マスコミは黒川が無差別に女の子や…男の子達を屋敷へ入れる事を知っていたみたいで、何人かにカメラを持たせていれば、その内一人は偶然にでも黒川邸に誘われるんじゃないか……という案だったみたいです」
「うわ、それは……」
かなり危険だ。
黒川邸内の現状を知らなければしかし無理もない案かもしれないが……
だが危険があったとなればマスコミとてすぐに警察へ通報するだろうし、
「わたし達もそれ相応の見返りというか…マスコミから報酬があって。だから危険かもしれないけど頼まれて欲しいと言われたんです」
「……」
美織は苦笑する。
「わたし、軽い気持ちで引き受けちゃったんですよ。それにまさか本当に黒服に捕まるとも思ってなかったから…」
言って、屋敷での事を思い出したのか美織は両手で自分の肩を抱いた。
「だから、結構自業自得なのかも。屋敷から逃げ出せた時、あずさとあなたに罪悪感があって…」
「…」



