―ユージェニクス―

「はぁん!?なんで!!」

「仕方ないじゃん、茉梨亜が変に意地張ってるんだもん」
ふぃと拗ねる様に咲眞は顔を逸らし、拜早も手を腰に当ててつまらなそうな顔をしている。

「お、おまえらなぁ…」
思わず頭を掻いた。
なんとまぁ行動と結果が利に叶っていないのだろうか。
黒川邸に入るという事がどれだけ危険か、二人は身を持って理解しているというのに。
それを敢えて割り切り屋敷に侵入し、だが結果的に茉梨亜は……


「そ れ よ り、情況、説明して?」

いい加減に、と咲眞は低い声でぶつくさ顔の管原に問い掛けた。


「……」

情況……

スラムが正式に国の法律の中に治まった事。

その第一として、既にスラム内に出てしまった第二級以上の犯罪者の取締。
その決行が今回の黒川邸突入に繋がった。

……という事。

それらをかい摘まんで説明した後、管原は一息衝いて二人を見下ろした。


「俺が日堀…さっきの政府のおっさんに、直に電話掛けたんだよ」

「? 何話したんだ」

「保護地区を法律下に置くんなら先にウザい犯罪者捕まえとかないと、後々やっかい事起こるんじゃね?みたいなのを言った。その前にマスコミと警察にもハッパ掛けといた」

「な……」

「で結果予定されてた黒川の屋敷突入が今日になったわけ。ワハハハ」
「ワハハハって」

管原は軽く言ってのけたが、これは凄い事である。
何せマスコミにも話を流し、警察とも繋がらせてこの突入に至ったのだから、言う以上に壮大な結果なのだ。

「よくもまぁ……でも、なんで管原さんがそこまで」

「だっておまえら言ったろ?黒川どうにかしてって。俺に」

「あ…」


言った。

黒川邸での出来事を管原に話した後に。
しかし……

「こ…こまでやってくれるなんて」

咲眞は少し引き気味に笑う。


そして管原は管原で、まんまと突入の際に自分達研究員も含ませ、黒川の部屋の調査を済ませたのだ。
それにはどんな意図があったのか……