「……問題ないよ。茉梨亜なら」

咲眞は真っ直ぐ前を見つめる。


  「……ッ」

  今度こそ、自分を護るからと
  今度こそ二人を護るからと

  だからもう一度傍に居たい。


  「そう言っても……いい、……のかなぁ」

  希望を口にしてもいいだろうか。

  「もう殺してなんて、言わないから……」

  “死にたくない”、とも言わないから。


「僕達の気持ちはこれでもかって程伝えたし」


  あたしは、許される時間だけ……生きて


「だから、大丈夫」


  解放、死ぬ事に頼らずに

  生きて背負うから、だから


 『待ってるから』


  「待っ……てて……」

  戻るから


  それが恥でも


  それでもあたしは二人を


 『好きなんだからね』


  今もとても好きだから――










「それに、さ」

「?」


「あの銃、弾入ってないから」


  「……あれ?」

  微妙に軽い。いや、そりゃ銃なんだから多少重みはあるが、慣れ親しんだ弾が六発入っていた重みより若干軽い様な。


「……意地悪だなおまえ」

「そう?僕の誠意なんだけどな」
「保険だろ」
「……」

咲眞は少し分が悪そうに目線を逸らす。


「…茉梨亜は自殺なんてする子じゃないって思ってるよ。でも可能性はゼロじゃない」

「信用ねぇな」

「信用の問題じゃないよこれは。……茉梨亜は死なせない。生きていてくれさえいれば、どんな茉梨亜でもいくらでも諭して、いくらでも迎え入れてあげるから……」

普段の達観した咲眞ではなく、本心を表情に表してそう、言った。

「……拜早が」


「…って俺かよ!」

「うん」

「おまえはどうなんだよっ」

「勿論僕も同じ気持ちだよ。でも茉梨亜は拜早が……」

「あ?」

「なんでもない」

訝しげに咲眞を睨んでも、咲眞はもう不真面目な顔しか返してこなかった。

と。


「って拜早」

「〜〜何だよ」

「なっなんで普通に歩いてるの!?」

「あ」