「では、これから保護地区は騒がしくなるかもしれませんがどうぞよしなに…観崎さんの研究の成果、期待しています」
「ありがとう、日堀さんもお体には気をつけて」
二人は微笑み、日堀から先に応接室を後にした。
日堀の話には一部嘘がある。
既につい先程、日堀の仲介の元でマスコミと警察は手を組んだ。
黒川邸を捜査するというのも、専務の木戸田に保護地区と警察の関与を伝えてあるので、つまりはいつ実行に移しても問題無い。
「……」
第一、保護地区も外界と変わらぬ法の元…という法案が制定された今、犯罪者に対し警察やマスコミが動くのは当然…と言えば当然だ。
犯罪としても一口に言えず、暴行から強姦、殺人未遂等、様々なものがこの保護地区内で行われていたはずだが、今は不確定な犯罪者達を洗って粛正するより、まずは巨大で定まり易く、タレコミとマスコミの件もあって真っ先に黒川が立ってしまっただけ。
…まぁマスコミが保護地区内に入っているのは異例だが。
彼ら曰く、マスコミにも情報提供者のタレコミがあったらしい。
故に、情報は宝である彼らはスラムへ入ってきた。
何かと口実を付けスラムの潜入取材を強行したマスコミの要領は図り知れないが…それは木戸田の管理の甘さもあっただろう。
……そして日堀はマスメディアへのタレコミ者を、自分の所へ電話をしてきた情報提供者と同じ人物なのではないかと思っている。
更に黒川邸内部の情報を手に入れたというあのマスコミの電話……
確かにあれは情報売買の交渉ではあったのだが、その情報の入手経緯は耳を疑うものであった……
ボディーガードを横に付け、やって来たのはスラム内とある廃屋。
普段の日堀には縁の無い場所だ。
廃屋と言っても今は即席で電気も引かれ、机と椅子もいくつか並べられながら、ハンディカメラ、機械類、手荷物などが散らかっている……
「入りますよ」
日堀の登場に、その部屋に居た十人弱の男が皆挨拶をした。
「中身、どうですか?」
「決定的ですね、これは……」
問いかけに、机の上でノートパソコンを見ていた日堀の部下の男が答えた。
「ありがとう、日堀さんもお体には気をつけて」
二人は微笑み、日堀から先に応接室を後にした。
日堀の話には一部嘘がある。
既につい先程、日堀の仲介の元でマスコミと警察は手を組んだ。
黒川邸を捜査するというのも、専務の木戸田に保護地区と警察の関与を伝えてあるので、つまりはいつ実行に移しても問題無い。
「……」
第一、保護地区も外界と変わらぬ法の元…という法案が制定された今、犯罪者に対し警察やマスコミが動くのは当然…と言えば当然だ。
犯罪としても一口に言えず、暴行から強姦、殺人未遂等、様々なものがこの保護地区内で行われていたはずだが、今は不確定な犯罪者達を洗って粛正するより、まずは巨大で定まり易く、タレコミとマスコミの件もあって真っ先に黒川が立ってしまっただけ。
…まぁマスコミが保護地区内に入っているのは異例だが。
彼ら曰く、マスコミにも情報提供者のタレコミがあったらしい。
故に、情報は宝である彼らはスラムへ入ってきた。
何かと口実を付けスラムの潜入取材を強行したマスコミの要領は図り知れないが…それは木戸田の管理の甘さもあっただろう。
……そして日堀はマスメディアへのタレコミ者を、自分の所へ電話をしてきた情報提供者と同じ人物なのではないかと思っている。
更に黒川邸内部の情報を手に入れたというあのマスコミの電話……
確かにあれは情報売買の交渉ではあったのだが、その情報の入手経緯は耳を疑うものであった……
ボディーガードを横に付け、やって来たのはスラム内とある廃屋。
普段の日堀には縁の無い場所だ。
廃屋と言っても今は即席で電気も引かれ、机と椅子もいくつか並べられながら、ハンディカメラ、機械類、手荷物などが散らかっている……
「入りますよ」
日堀の登場に、その部屋に居た十人弱の男が皆挨拶をした。
「中身、どうですか?」
「決定的ですね、これは……」
問いかけに、机の上でノートパソコンを見ていた日堀の部下の男が答えた。



