「はぁっはぁっやっと見つけた」

廊下の角を曲がって登場したのは、日頃の運動不足か息が上がっている蓋尻。

「さっ、二人共黒川様がお待ちです、着いてきなさい!ご苦労だったね」

蓋尻の声かけに精鋭二人は頭を下げる。

「はーいあずさ頑張っちゃうよ〜」


「………」


もうだめだ、どうすれば…


美織はどうする事も出来ずにただ蓋尻とあずさに着いて行くしかなかった。

今逃げても後ろには精鋭がいる。

けど……いつ逃げようとしても……



無理だ。


黒川邸から逃げるなんて……

絶望に俯く美織を前を行くあずさがちらりと見た気がした。