闇 白い月


淡い明かりに映える 白い布


白い足


白い 手




「…ふ」


生温い、吐息



もがいていた、なんて

いつの事だろう


もう過去の話だわ



楽しかった なんて

いつの話?


もう忘れた思い出だわ




私は今も海の上

塩に溺れて抜けだせない


体はこんなに感じているのに

こころに何も浮かばない



白い手は虚空を掴む


海から空へ 手を伸ばしてるの?


それとも光を求めてるの?


塩の海は暗いから


闇の中に落ちる一筋の月光は


ただ浅ましい姿を映すだけ



もっと目が眩む様な光があれば

私はこころを思い出せる?



そう思っても 望まない


もういい もういいの




私はここで溺れるの



受け入れたの


“私を”



私はここで溺れるの