「そーいえばここ一週間入ってねぇな」
「げっ!!」
茉梨亜は血の気を引かせると共に更に管原から離れようとする。

「しゃーねーだろ俺様最近超忙しい身なんだから。それに五日過ぎた辺りから体臭ってのは消えるのさ」

「それ自分の体臭に鼻が慣れただけじゃない…?」
「そうともいう」
「ぎゃー!」

無意味に得意げに言う管原に茉梨亜は自分の調子が狂うのを覚えた…

「そーだわこれから一緒に風呂入る?茉梨亜ちゃん」
「願下げよっ!!」

朗らかな顔で軽口を叩いた管原に茉梨亜は容赦なく右ストレートを繰り出し……

「ん?ちょっと、なんであなたもあたしの名前知ってるの!?」

「ん?俺様エスパーだし」
「そっか、あたしが可愛いから名前まで有名になったのね!白の怪物だってあたしの名前知ってたんだから!」
「そりゃそーだろ……いや、おまえが可愛いとかどーこーじゃなくてだな、奴は……」
「やっぱりね!私の可愛さがそこまで有名だったとわねー」
「おいちょっと待て、おまえ白の怪物……知ってる、だろ?」
人の話を聞いてるんだか聞いてないんだかのやり取りの中、茉梨亜は管原の発言に思わずきょとんとなる。

「え、知ってる訳ないじゃない。なんであたしがあいつの事知らなきゃいけないのよ」

「……ほう」

管原は長い指先で自分の伸びた顎髭を撫でながら少しだけ目を丸くした。

「おまえ、新庄茉梨亜でいいんだよな?」

「あったりまえじゃない!」
「……これはこれは、予想外の展開になってるな……どうするかこれ報告すべきか否か……」
「?何の話よ」

「こっちのハナシ。どれ…」


何かと思えば管原は突然ベッドに手をつき茉梨亜の顔に自分の顔を近付けた。

「ちょっやだっ何?!」

「おまえ…可愛いな」


息のかかる程近くで真顔でそう言われ、茉梨亜は驚いて後ずさる。

が、もう後ろはベッドに接した白い壁で、後は無い。


「さて……どんな反応がくるかな…?」


茉梨亜がどうしようか一瞬戸惑った隙、管原は茉梨亜の唇に……キスをした。




「……………………!!!!!???」