「うわっ…!」
 
彼女のその行動に俺はのけ反ることで回避した。
 
まさに気分はフィギュアスケートのイナバウア-だ。
 
イナバウア-を知らない人は親に聞いてくれればわかると思う。
 
まぁ、とにかく俺はそんな風に華麗に避けたわけだが、それが逆に命取りになった。
 
彼女が両手を腰に当てて怒りをあらわにする。
 
「なによ!普通、女の子相手にそんなことする?!」
 
そんなこといわれても…と俺は心の中でいいわけした。
 
顔は真っ赤に染まっているだろう。
 
自分では決して見えない…自分の顔。
 
それでも顔の熱っぽさがそれを知らせているのは間違いではない。
 
いや、それでもこれだけは言っておく。
 
俺は今まで誰にしても普通に話しが出来ていた。
 
たとえ女子でも…だ。
 
いきなりこんな風になるのはおかしい…
 
……………
 
そういえば俺は今の今まで恋なんてしたことあったか…?
 
どうなんだ…?
 
俺はそう思考をグルグルと回転させている…馬鹿なのに…だ。
 
そうしてない頭をふりしぼった結果はやはり…
 
否…だった。
 
俺の記憶が正しければ今の今までそんな記憶はない。
 
「あんた…!」
 
と彼女が声をかけようとした。
 
それとほぼ同時に…
 
「そこ!なにをしてるか!!」
 
と、どこぞの教師が罵声を上げる。
 
「ヤバ!逃げろ…!」
 
俺は言いながら彼女の手を…
 
「な…」
 
取って逃げた。