涙花‐tear flower‐【短編】

フィルは不思議な気分だった。

ティアとは初めてあったはずなのに、そんな気がしない。

初めて出会う少女がいるこの非日常が、いつものことのように感じる。

だからフィルは、ティアに別段何も訊かなかった。




知らなくても知っている。




なんだかそんな気がしたのだ。


「ねぇ、朝ご飯の支度をするんでしょう?」

「あぁ、そうだね。」

「ティア、手伝う!」


そう言うティアに、フィルからまた笑顔が零れた。