涙花‐tear flower‐【短編】

「うん、そうだ!だからフィルに悲しいを知ってもらうのはもう止めるね。」

「え?」

「どうせなら悲しいより幸せな涙をフィルに流してほしいな!」


フィルのキョトンとした視線と、ティアのランランとした視線がぶつかる。

お互い見つめ合う、少しの間。

それがなんだかおかしくて、2人はどちらからともなく笑った。


「じゃあ、手始めにさっきとったリンゴをティアが切って食べさせてあげる!」

「ダーメ。」


ティアの早速の申し出を、フィルはアッサリと断った。


「ティアは危なっかしくて見てられないよ。」

「えー?」

「リンゴは僕が切るから、ティアは大人しくしててね。」


そう言ってむくれるティアを宥めながら、食堂に向かう。

こうしてまた、日常のような非日常が始まるのだった。