涙花‐tear flower‐【短編】

「でもね、涙って嬉しいときにも出るんだよ!」

「そう、なの?」


その問い掛けに、ティアは微笑んで言った。


「涙ってね、笑顔と同じなんだよ。」

「笑顔と……?」


フィルは首を傾げた。

涙と笑顔は、両極端にあるものだと思っていたからだ。


「笑顔ってね、人間の感情……喜怒哀楽を全部表せるの。」



自然に溢れる喜びの笑顔。

冷たさを持った怒りの笑顔。

無理したときに出る哀しみの笑顔。

弾けるような楽しいときの笑顔。



笑顔1つで、色んな感情を表現することが出来る。


「でもそれってね、涙も一緒なんだよ?」



嬉しさのあまり零れ出す喜びの涙。

狂気に満ちた怒りの涙。

胸を締めつける哀しみの涙。

笑いすぎて苦しい、でも楽しいときの涙。



確かに、涙もたくさんの感情を表すことができるのだ。


「だけど、“涙は悲しいものだ”って思ってる人、たくさんいると思うんだ。」


ティアはしょんぼりと俯いたかと思うと、すぐさま勢いよく顔を上げる。


「だからティア、知ってほしいの」




「涙は笑顔みたいに輝いてるんだよ、って!」




そう言って笑うティアは、今までで1番眩しかった。