涙花‐tear flower‐【短編】

「見て見て!凄いでしょ!」


見上げた先はリンゴの木の上。

2人が初めて出会った日に、フィルが登ったあの木だ。


「何してるんだ!危ないだろ!?」

「もうおりるー。」


そう言うと、ティアはゆっくりと木からおり始めた。

見守るフィル。

すると……


ズルッ


「あっ!」

「っ!!」


後少しというところで、ティアが足を滑らせた。

フィルは無我夢中でティアを抱きとめた。