涙花‐tear flower‐【短編】

「もしも、当たり前なことが当たり前じゃなくなったら……どうなると思う?」

「当たり前のことが……?」


コクリと頷くティアに促され、フィルは考えてみた。




もし、1人じゃなかったら……




フィルは1度だって考えたことがなかった。

ずっと1人なのは、変わらない事実だと思っていたから。

だから……


「……」




「ごめん……わからないや。」




フィルには、そんな光景を描くことすら出来なかった。


「じゃあ、ティアが教えてあげる!」

「教えるって……?」


すると、ティアは優しく微笑んでフィルの手を握った。

そして……


「だって……」




「フィルは、もう1人じゃないでしょ?」