ある時代、ある場所。

そこには小さな丘があった。

人里離れた小さな丘。

その丘にポツンと1軒、お屋敷がある。

小さな丘の、小さなお屋敷。

古めかしいそのお屋敷は、草木に覆い尽くされていてなんだかもの悲しげだ。

そんなお屋敷を、人々はこう呼ぶ。


『tear house』




“涙の家”……と。




だが、人々は知らなかった。

もの悲しく彩られたそのお屋敷に、1人の少年が住んでいることを……。