中学にあがった最初の夏。私は柳になんにも言わず転校してしまった。
また会えるかどうか分からないのに…。





これはそれから4年経ったあとの物語。





高校二年の始業式。
「もう四年になるのか。」柳はそっと呟く。
あいつはなにも言わずに転校していった。幼なじみの自分にもいわずに。
なにが嫌って、俺はあいつが…まぁ好きだったわけだ。
でもなんにも伝えれなかった。
「はぁー。」大きな溜め息が漏れる。
行き場のないこんな気持ちを、俺は四年間抱き続けている


『どす』

鈍い音がし、肩に重みが加わる。同時に声が聞こえた。
「やっほー柳。元気かい。」
こいつは……あっ、
こいつは俺の親友の酒井だ。
俗に言われる頭が残念な人だ。
話してて、何考えてるか分からなく面白い。
だがバカすぎて、基本話すがめんどくさい。
あれ、これは親友なのか…。

俺は早速めんどくなり
新たなるクラスメートを確かめる作業に取り掛かった。
残念なことに親しいのは酒井だけ…あれ?
見覚えがあり俺の好きな漢字が目に入った。
「如月 夕菜…。」
まさか…あいつなのか。
考えた時にはもう足は
教室に向かって走り始めていた。
酒井を一人残して。