その3日後、父親から着信があった。どうせお母さんが、告げ口したに違いない。

「ゆり、元気にやってるか?」

「うん!」

「髪の毛染めたんだって?」

優しく問いかけられたが、私は予想通りの展開に黙った。

「今イタリアにいるんだ。ここにいたら、モラルなんてあるのかと思うよ。」

小学校1年生の時に、家族旅行で一度だけ行った、アメリカの旅行を私は思い出した。

レストランで食事をした後、店員さんが飴玉をくれたので、当時人見知りだった私が思い切って

「さんきゅう」

と言ったら、父がすごく関心して褒めてくれた。そんな些細なことがきっかけで、私は英語が好きになったのだ。

「ゆりはもう大人だ。いいことと、いけないことぐらい分かってると思う。」

父は少し厳しい口調になった。

「だから、自分のしたいことはやってみればいい。だけど、責任を持たなきゃいけないよ。」

「わかったよ。」

子供の頃から私はパパっ子だった。母に怒られては、父が慰めてくれた。

「あっお父さん、おみやげ忘れないでね!」

私は少し元気になって電話を切った。

今日は美玖と理香ちゃんと3人で、プールに行く約束をしている。
この前の買い物でお目当ての水着は買えなかったため、私は去年物をかごバックに入れて、ビーチサンダルを履いて出かけた。