mixed Emotion

「もう、ここでいいよ、家見えてるから」


つかさくんが家の近くのコンビニに、

エンジンを止めたので私はバイクから降りた。


「じゃ!ありがとう」


それだけ言って私は潔く背をむけた。


別れ際くらい、あっさり去ろう。

つかさくんにとっては、
私なんてやっぱり何人かいる女の子のうちの


一人なのだろう。


あれだけおしゃれでかっこいいんだもん、


きっと選び放題だよね…。


もやもやした気持ちを振り切るように


私は急ぎ足で歩いた。


「ゆりー!!」


大声で呼び止めるつかさくん。


振り向くとつかさくんは一指し指で


私の頭を指している。


・・・?


・・・・・ヘルメット!!


恥ずかしさのあまり私は
その場にへなへなと座りこんだ。


つかさ君は

腹を抱えて笑っている。

ひとしきり爆笑した後、


「ゆり、今度夜景見に行こうね」




エンジンをふかして去っていった。