mixed Emotion

「えっえ?」

パニックになる私を気にもせず


「はい足、開いて」


前向きに座らせた。


「自転車と違うからね、俺の腰しっかりもっててよ」


笑いながらつかさ君はふたたびエンジンをふかす。


つかさ君の体温が伝わる。

ときめいたのは一瞬で、
バイクという名のジェットコースターに私は



悲鳴をあげるしかなかった。


信号が赤になってようやく止まったバイクに

「はぁぁー」


大きく息を吐く。


「ゆり、怖い?大丈夫?」


心配そうな声をかけつつも

あきらかにおもしろがっているつかさくんの背中で、


「大丈夫」


私は強気に返した。


でも心の中はいろんな意味のドキドキでいっぱいになって、

はちきれてしまいそうだった。


あんなに人気のあるつかさ君を、

私は今独占して、

こんなにも密着してるんだ。


だけどそれも後少し。


もうすぐ家に着いてしまう。


そもそも、彼女とは今どうなっているんだろう。

送らなくいいのかな?


疑問とドキドキでいっぱいになった私の頭は


パンクしてしまって


「つかさ君!や・・・夜景とか見に行ってみたいな」

突拍子もない事を口走ってしまった


だけど


バイクに乗っているので聞こえなかったのか、


そんなつもりはないのか
つかさくんは無言で家の近所までバイクを走らせた。


だんだんと見慣れた街並みになっていく。



「ゆり、こっからどう行くの?」


やっと口を開いたつかさくんの声は、


事務的な冷たい雰囲気がする。